モラル・ハラスメントとは,精神的暴力嫌がらせのことです。
モラハラとは「モラル・ハラスメント」の略で,精神的な暴力・虐待のことです.
モラハラは職場や学校でも発生しますが,特に最近多いのが家庭内で夫が妻に対して行う「家庭内モラハラ」です。
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは違って,モラハラ夫は妻を蹴ったり殴ったりする訳ではありません。むしろ静かに,そして執拗に妻の嫌がる言動を繰り返し,完全無視や,逆に突然怒り出すなどの態度によって,巧妙に心を傷つけ,支配するのです。
モラハラを受けた妻は,夫が怒ったり無視したりするのは「自分のせい」だと考えます。そして,自分さえ我慢すれば丸く収まると考え,反論せずに嵐が過ぎ去るのを待ちます。
モラハラは外から見えにくく,そんな夫に限って外面は良いため周囲の人々にも分かってもらえません。妻は精神的に孤立し,次第に気持ちが不安定になって,夫の声や物音を聞くだけで手が震えたり,恐怖症の症状があらわれたりします。
妻は自分が悪いと考えていますので,「モラハラの被害者である」ことに気付きにくく,多くの場合,モラハラに関する本を読んだり外部の専門家に相談したりしてようやく「悪いのは夫であって,自分ではない」という当たり前のことに気付くのです。
妻が決意して別居しても,素直に離婚に応じるモラハラ夫は少数です。モラハラ夫は「これまで夫婦関係は良好だった」と思い込んでいますので,妻の真意が分かりません(プライドが高いので,分かろうともしません。)。夫にとって,従順だったはずの妻の別居は「飼い犬に手を噛まれた」ような感覚であり,表面的には謝りながら,「嫌なことがあるなら,どうして今まで言わなかったんだ!」と逆に妻を責めたり,酷い場合は「今まで甘やかしすぎた」と考え,「制裁」と称する暴力を振るったりします。モラハラ夫の支配から逃れるためには,まず「悪いのは自分ではない」ことに気付くこと,そして適切に行動することです。
モラハラを原因とする離婚の場合,一般的に任意の交渉だけで解決することは少なく,法的手続きを念頭に置く必要があります(ちなみに,モラハラ夫の多くは,調停や裁判になると「直接話せば分かる」と言って執拗に直接交渉を求めてきます。)。客観的証拠が不足する場合も多いので,しっかり準備をして進めていくことが必要です。
モラハラの特徴
ア 異常な自己顕示欲
モラハラをする人は,周囲からの評価をとても気にすることが多いです。
「仕事ができる」「才能がある」「優秀である」と見られたいと思っていることが多く,実際に世間で「エリート」と呼ばれる方が,モラハラの加害者になっていることが多くみられます。
イ 自分のせいではなく,いつも他人のせいにする
モラハラをする人は,家族に何か問題が起こっても,それが自分のせいであるとは考えません。
何か問題が起こっても,「誰のおかげで飯が食えているんだ」と強弁して話をすりかえてしまったり,自分が浮気をしたとしても「浮気をさせるようなお前が悪い」と言って相手のせいにしたりします。
ウ 突然怒ることがある
モラハラをする人は,相手に対して自分が優位に立つために,突然怒り,怒鳴ったりすることがあります。たとえば,テレビを見ていると突然,「うるさい,テレビを消せ」と怒鳴る,といった具合です。
また,些細なことですぐに怒ったり,怒鳴ったりすることもあります。
定期的に怒ることで,夫婦関係に上下関係をつけたいのです。
エ モラハラはわかりにくい
モラハラは家庭内で起こる出来事ですから,周囲には気づかれにくいのです。家庭内のことを周囲に話しづらいことや,モラハラをする人の周囲からの見た目(世間体)を気にするため,穏やかな人や社会的な評価が高い人である場合も多いです。
モラハラの相手が周囲に対して「いい配偶者」を演じているため,被害や悩みを訴えても,周囲の人々になかなか理解してもらえないこともあります。
オ 我慢せずにまずはご相談を
モラル・ハラスメントの被害者は「私が間違っている」「私が悪い」と思って我慢している方が多いのですが,まずは自分が被害者だということに気付くことが重要です。我慢していても解決しません。
モラル・ハラスメントはどんどんエスカレートしていきます。
これまでご相談をお受けした方の中には,夫のモラル・ハラスメントをずっと我慢していたため,多大なストレスを受け続け,ついに体調を崩された方もいらっしゃいます。
しかもモラル・ハラスメントが自然に改善される可能性はとても低いのです。
反対に,勇気を出して,別居・離婚をし,新たな生活をはじめる方もいらっしゃいます。
夫のモラル・ハラスメントの被害にあわれている方は,一人で悩まず,まずは当事務所までご相談下さい。
ご予約の際に,「モラル・ハラスメント(モラハラ)の相談がしたい」,「DV(ドメスティックバイオレンス)の相談がいしたい」とお申し付けください。